「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」
長編ドキュメンタリー映画。
ジョン・マルーフという青年が、ガレージセールのようなオークションで古い大量のネガフィルムを入手した。その写真をネットにアップしたところ反響を呼び、残りのネガも入手。
大量に残された素晴らしい写真、しかしそれを撮った「ヴィヴィアン・マイヤー」という人物は完全なる無名。
いったいどのような人物なのか。なぜこれほどまでに写真の腕があるのに名前が出てこない?彼は残された手がかりを辿って、彼女を知る人達を探して話を聞きに行く。 という映画。
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この映画を観たきっかけは、先に、 ヴイヴイアン・マイヤーのホロスコープを見て、 これは・・・けっこう大変そうだな、どう出たんだろう、 と興味を持ったから。
映画の中では、ずいぶん悲劇的な曲調の音楽が多用されていたけど、 彼女の人生が全て悲しいものだったとは思いません。 あの時代に女性であれだけ好きなことに注力できた人がどれほどいるでしょう。 写真のフィルムと現像に稼いだお金を注ぎ込み、あの時代に8ヶ月も女性1人で世界旅行です。
勤め先は、良いときもあれば悪いときもあり。 気の合わないところでは大変だったようですが、 なんと晩年は家賃も大量の荷物の貸倉庫代も、 かつて子守をした坊ちゃんが出して下さってるのですよ。 div class="sonet-asin-area">
- 出版社/メーカー: バップ
- メディア: DVD
今はデジタルでバシャバシャ写真が撮れるけど、 かつて写真を撮るのはお金のかかる趣味でした。 まあよくあれだけフィルムが買えたな、というのが一番の感想ですね。
ジョン・マルーフは、彼女が写真家としての名声をつかみに行かなかったことを最大の疑問として人物を探ったようですが、私から見ると、彼女は「あらゆるものを残したい人」。
有名になりたいから大量の写真を撮ったのではなく、全てを残したい、自分の着た服も、自分の見た景色も、持っているもの全て、感じたこと全てを手元に残したい。その衝動がまず先にあるのではないかと思います。
結局、発表に至らなかったのは、写真を撮って公表すると知られたら、その仕事を続けられなくなるからではないでしょうか。写真家として絶対に成功するかどうかなんて分からないので。
もし彼女に学歴や裕福な実家があったら、存命中に名声を得ていた可能性もあるのでしょうけど、そういう家は外聞や行動への制約が伴うことが多いから、どうでしょうね。孤独だったからこそ、これだけ行動できてこれだけの作品が残せたのかも。
とても印象に残る映画でした。 ヴィヴィアン・マイヤーの写真すごく良いです。 彼女の写真を見てから、被写界深度が深めになりました。