ぼちぼちおうち生活

浅く薄く移ろいゆく趣味と住居の覚え書き。

「みなさん、さようなら」 2003年カナダフランス合作

やり手のディーラーが、母親から父親が末期癌だと聞かされて、父親の入院する病院にやってきた。入院先は父親の社会主義思想に基づき、設備の行き届かない公立病院であった。やり手ディーラーは母親から、「友人を呼んで楽しい病室にして」と頼まれ、その願いを叶えるべく、自分の豊富な資金力と手腕によってバリバリと環境を整えていく。 ・・・といった映画。 アカデミー賞最優秀外国映画賞を受賞しています。 父親は好色じじいで、妻とは離婚はしてないけどあまりの女性関係に家を追い出され、息子とは価値観の違いから疎遠になっていた。だけど最期は妻と過去の女たちと友人たちに囲まれて、息子が全て至れり尽くせりに手配してくれて和解もできて、苦しまずに最高の終わりを、・・・・・という、まことに都合の良い夢のような展開は、賞を審査する映画界の偉いお爺さんたちの琴線に触れたんだと思います。 こういうキャラのお爺さん多そうですもん。知らんけど。 私は息子くんの辣腕っぷりに惚れました。 あんな息子が欲しい。
いろんな歴史についての話も(じいさんは歴史の教授だった)、うんうん、とうなずくところもあり、全然知らない単語ありで、おもしろかったです。 途中から、父親の痛みを和らげるべく違法薬物であるコカインを入手して用いるようになるのですが、南米の古代インカ帝国で生け贄にされた少女には死への恐怖を和らげるためにコカの葉を与えられていたという史実があり、映画の中では父親に南アメリカ大陸におけるスペイン人による現地人の大量虐殺について語らせているので、脚本家や制作者側の考えみたいなものを感じました。 もしかしたらこの映画は、 安楽死や終末期に限った麻薬の使用などについての主張を込めた映画なのかもしれません。