「ブラック・スワン」
「白鳥の湖」という演目で主役を演じることになったバレリーナが心を病んでいく話。
ナタリーポートマンがアカデミー賞主演女優賞を受賞しています。
これってサイコスリラーだったのですね。
R15+の指定です。ちょいグロいです。
私には刺激が強すぎました。
いろんな意味で。
どのシーンをとっても最高に美しく、
清楚で少し臆病で完璧な「白鳥」の主人公を、
女優さんがすばらしく表現なさってました。
官能的な表現を求められて(いったいどうすりゃいいの)というのは
とてもよく理解できます。すごくよく分かります。
努力して身につくものとも思えないし、そもそも努力の方向って?
官能とか色気というのは本人が意図的に短時間で作れるものなのか。
作ったとして簡単に出したりしまえたりするものなのだろうか。
私の場合は少し考えたところで、「それは私がやるべきことではない」
とバッサリ切って捨てて、同時に自分の個性を理解したわけですが、
それはその程度の人だったからあっさり割り切れたのであって、
そういうわけにはいかない立場の人もいるでしょう。
この主人公は人生を全てバレエに捧げてきて、
彼女をこよなく愛している母親も元バレリーナで、
かなわなかった夢を彼女に投影している。
プリマドンナの地位は母親にとっても彼女にとっても最高の目標で、
なんとしても手放すわけにはいかないのです。
追い詰められていく様が痛々しい。
美しくも凄まじく、怖ろしい映画でした。
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- メディア: DVD
母親はいったいどう対応すれば良かったんでしょう。
愛情が過剰なことは感じますが、ひとつひとつ取ってみると
傷ができていれば心配もするし、そう間違ったことをしているようには思えません。
母親の個室の壁が、自分で描いた娘の絵で埋め尽くされているのは怖いけど。
主人公が役を取られると敵視した、奔放でフレンドリーな新人にしても、
おそらくただ友達になりたいとか、追い詰められていく様が見ていられなくて
ちょっと親切心でやったことのように見える。
でも主人公にはどんどん疑念がふくらんで幻覚と妄想が混じり合っていく・・・・。
どうすれば止められたのか。
そう思うとなんともいえない気持ちになります。
私は母親に感情移入してしまいました。
ものすごく良く出来た超一流の上質な映画だと思いますが、
二度と見たくありません。トラウマになりそうです。
でも、オススメです。
心も体も元気な時にどうぞ。