「万引き家族」
是枝裕和監督作品。
第76回ゴールデン・グローブ賞 外国語映画賞ノミネート。
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雪が降りそうな寒い日の夜、通りかかったアパートのベランダに小さな女の子を見つけた。
「ママは?」と聞いても首を振る。
このままでは死んでしまうかも。見かねて父ちゃんは家に連れ帰った。
家は古い平屋の一戸建てで、5人家族がひしめくように暮らしている。
小さな女の子は体中に傷があって痩せていて、翌朝、元の家に返しに行ったのだが、家の中から聞こえてくるあまりに派手な暴力の音に、そのまま連れて帰ってきた。おばあちゃんはその小さな女の子の傷に薬を塗ってやる。
父ちゃんは、小学生くらいの年頃の「兄ちゃん」に万引きを教えて、苦しい家計を補っている。「兄ちゃん」は妹になった小さな女の子に万引きを教えることや、自分が盗みをすること、学校に通えないことなどに抵抗感を感じるようになっていく。
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- メディア: DVD
たぶん、色んな感想があると思う。
虐待する親よりも暖かい疑似家族の方が幸せなんじゃないか、とか。
幼い子供の悲しいニュースを見るたびに、ネグレクトされてる幼児なんてうちに連れて帰りたい、と思う人は私だけじゃないだろう。パチンコ店の駐車場や、凍死しそうなほど寒い夜の屋外に放置するなら、たとえ不完全な他人の家庭であっても、死ぬよりずっといい。
そしてそれを、
後先考えずに、いろんな手続きなどもすっ飛ばして実行すると、こういう経過も考えられるよね、とか、何も考えない人って例えばこんなかんじ、などの一例を見せてくれる映画かもしれないなと思った。
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ここまで、見たその日のうちに書いた分。
ここから、一晩寝た後で書く分。
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なんであんなに貧しい暮らしになるんだ?
だって低賃金とはいえ夫婦二人で働いて、ダンナは日雇いの建設作業員、奥さんはクリーニング工場で、
奥さんの方は時給の高い方から辞めてもらうと言ってクビになるのだから最低賃金ということはありえないし、「あれ?今日は午後から?」「ワークシェアっていうんだって」という会話から普段はフルに入れていることが分かる。
それを考え合わせると、二人併せて一ヶ月に20万にはなると思う。そこにおばあちゃんの年金が加わる。おねえちゃんも風俗店でバイトしてるからおねえちゃんのスマホ代はたぶんそこから出すでしょう。
東京で暮らすのにお金がかかるのは家賃が大変だからで、おばあちゃんの家にみんなで同居して家賃が一切かからなくて、車の維持費もいらないとなると、その収入で普通の生活ができるのではないの?万引きなんてしなくても。
そう贅沢をしているようには見えないし、これで暮らしていけない出費となると・・・ばあちゃんのパチンコくらいしか考えつかないんだが。「年寄りの年金あてにして甲斐性無し」なんてセリフがあるけど、実はおばあちゃんがパチンコに使い込んでるという可能性は・・・。誰も何にどのくらい使ってるかなんて、あの人たち誰も把握してなさそうだもんな。
むしろ外国での方がそういう余計な事が気にならなくて良いかもしれないね。
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考えてみれば、祥太だけは、あの家に居るのは自分の意思じゃないんだね。幼いゆり(じゅり)でさえ自分で選んだんだから。
亜紀はおばあちゃんの温かさが一番の目的だった。そのままの自分を受けて入れてくれるホームとして。
夫婦は住処を得るかわりに家事をやる利害関係があるように思える。それはそれで良い関係な気がする。うまくいくなら。
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この映画、わりと最近、テレビの地上波でノーカットで放送されてませんでしたっけ。
ちょっと家族で見るにはどうかというお色気シーンがあるんですけど。
なんか監督が政治的な発言をしたとかで、普段映画を見ない人たちが見ているのか、Amazonには面白いレビューが書かれてますね。
「ノンフィクションでないのなら、こんな題材を勝手に「創作」して「賞」を獲るための道具にしているのでは?」
「題名に騙されないでください。万引きなんてほんのちょっとです。」
「これが日本の一部だと誤解されそうで不快」
是枝監督の他の映画どころか、他の日本の映画もヨーロッパの映画も見なくて、ハリウッド娯楽活劇しか見ない人たちなのかな?ずいぶん幅広い層にアピールしたんですね。受賞するってすごい。