「ラースと、その彼女」
この映画は、好きになる人と、まったく受け付けない人とに分かれそう。
好きな人はすごい映画だと思うし、まったく受け付けない人は理解できないと思う。私はこの映画をコメディだとは思えないし、むしろヒリヒリするおとぎ話だと言いたい。いったいどうなるのか、どうしてなのか、推理モノやサスペンスに近い気持ちで視聴した。
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ラースは兄夫婦の住む母屋と同じ敷地に建つ離れに住んでいる。
日曜には教会に通い、真面目に働いて、コミュニケーションは苦手で人嫌いにも見えるが同僚ともそこそこ上手くやっているし、周囲からは穏やかな人だと思われている。
兄夫婦はいつも一人でいるラースのことをいつも心配し、とくに兄の奥さんカリンは、いつも彼を気に掛けて親切だ。
そんなラースがある日、兄夫婦に紹介したい女性がいると言う。
兄夫婦は大喜び。彼女が車椅子であろうと英語があまり分からなくても、そんなことは何も気にしないと話す。なんといってもあのラースが彼女を連れてくるのだ。
しかし、
連れてきたのは、ラブドールと呼ばれる等身大の人形だった。けばけばしい化粧をして網タイツ、ミニスカート。ラースは彼女が本当の人であると信じて、彼女ビアンカにやさしく話しかける。
長旅で疲れているビアンカを病院に連れて行く、として兄夫婦はラースとビアンカを病院に連れて行った。担当した医師は、あくまでビアンカが生きているとして話を合わせなさいと言う。
「ビアンカは理由があって現れたのよ。選択肢は無い。」
そこから、教会のコミュニティを中心として地域ぐるみでビアンカを支える(ラースを支える)輪が広がっていく。
兄は病的妄想について勉強し、理解しようとする。義姉は自分が妊娠中だが献身的に支え、ビアンカは服装も化粧もナチュラルになり、医師はビアンカの診察(ラースの問診)を重ねて、妄想の背後にあるものを探っていく。
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- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
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「空気人形」を見たときに、この映画も観なくてはいけないと思った。でも当たり前だけど、まったく、全く違う映画だった。せめて見る順番は逆だった方が良かった。
意表を突かれたのは、ラースはビアンカを独身の男女が同じ家で過ごすのは良くないからと、兄夫婦の母屋に住まわせて、とことん紳士的な清いおつきあいを続けるところだ。
映画が始まってラースがどんな人か分かってくるとそれは自然は流れだけど、この映画がどんな映画かを語るとき、ラブドールを彼女として連れてくる話、と聞いたら、始めからそう思えるだろうか。
ラースのやさしさが分かるシーンとして、同僚のクマのぬいぐるみが「絞首刑」にされ、泣いている同僚の話を聞きながら、クマの首から縄を外し、心臓マッサージをして「蘇生」させる場面がある。
ここが一番好きだ。