ぼちぼちおうち生活

浅く薄く移ろいゆく趣味と住居の覚え書き。

「或る夜の出来事」

かなり昔の白黒映画です。 1934年度アカデミー賞受賞なんだそうで、 クラーク・ゲーブル出世作

大富豪のお嬢さんが父親に結婚を大反対されて逃亡。 長距離バスに乗って「夫」に会いに行こうとするのだが、そこに乗り合わせたタブロイド紙の記者は大スクープ目当てにお嬢さんの面倒を見始める。トラブルとハプニングで2人きりの珍道中となり、持っているお金も底をついてきて、さて2人は無事にニューヨークへとたどり着けるのか、徐々に惹かれていく2人の仲は・・・・・・という映画。

 

見始めたときには、(ヒロインがあんまり可愛くないなあ)とか、(クラーク・ゲーブルもそんなに格好良くないなあ)なんて思っていたのに、映画が終わる頃にはすっかりクラーク・ゲーブルが素敵に見えてしまうという、ラブコメディの王道をいく作品でした。

すばらしく面白かったです。 絶対のオススメです。 う~ん、脚本すばらしい。 こんなに面白かった恋愛モノは久しぶり、というか、これより上は何があったかな。

 

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今、2度目をかけながらこれ書いてるんだけど、2度目には最初の方のシーンの意味がよく分かってさらに良い。ハンガーストライキ中の娘の目の前でステーキを食べてみせるあたりとかね。あの父親がいいよね。 結婚式の直前になって、娘に初めて本当に恋する相手ができたことを知り、相手がどんな男なのか確認し、娘に翻意を促し、もうバージンロードを腕組んで歩いてる最中なのに「おまえはバカだ。まだ止められる、金で解消できる、その気なら裏に車を待たせてある。」なんて言うのだ。花嫁の父が。思い起こせばそもそもその父親はその結婚を反対してたんだものね。

で、クラーク・ゲーブルが最初は口先だけうまい男かと思ったら、なかなか行動力があって頼りになり気の利く人だと分かってくるのもいい。 良質の恋愛映画にラブシーンは必要ないですね。

 

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で、ストーリーとは関係ないんだけど、時代背景というか、(この時代ってこうだったんだー)と思うところがしばしば。 ヒロインがずっとノーブラなんだけど、この頃はまだブラが普及していなかったのかな、とか。 それならそれで、しっかりした布でかっちり衣装が仕立ててある作品もあるじゃない? 現代なら若い娘であのシルエットはありえない。 あれでオッケーなのか・・・しかもブラ無しでレースたっぷりのキャミソールは肌触りが悪くないか・・・それも演出のうちなんだろうか・・・。

 

あと、ところかまわずタバコを吸いまくるのは、時代よね~。当時はタバコ会社から多額のお金が出てたんだものね。寝タバコは危ないよ。それに干し草の積んである横でタバコを投げ捨てるのは辺りが火の海になるよ・・・。あとセリフに出てくるけど、女子は殴っちゃだめよ。(川を渡るところでおしりを軽くぺんっ、ってやるのはちょっともえ) で、ものすごーく昔の作品なんだなーと思いながら見ていたら、三匹の子豚の歌(Who's afraid of the big bad wolf、これってディズニーだよね)を歌っていて、この作品よりもさらにあの歌は前なんだ、などと思う。

そこで1934年っていうのはどういう時代だったのかな、と調べてみたら、 1934年にナチスドイツのヒットラーが総統に就任してた。 日本では東北地方で大凶作、室戸台風で家屋の全半壊が4万2千戸、 ロシアでは粛正開始。

 

服装や習俗は変わり、技術は進んでも、人情とか人の心というのは全然変わらないものなんですね。 時代を超えて、今見ても全く見劣りがしません。 永遠の名作だと思います。