ぼちぼちおうち生活

浅く薄く移ろいゆく趣味と住居の覚え書き。

「ブラス!」

ここのところの大不況で、歴史ある企業のスポーツチームが廃部になるニュースがぽつぽつ聞かれますね。スポーツには詳しくないので良く知らないのですが、たしか大きな大会で優勝するような超有名チームが、企業の業績悪化のために突然解散になったり。

生半可な練習ではあれほどの成績を収められるはずもなく、

チームのメンバーはそのスポーツの勝利に向けて、

活動を生活の中心にしてきたんだろうと思う。

その人たちは今、どんな気持ちで過ごしているんだろう。

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この映画では、歴史ある名門ブラスバンド

炭坑の街で、その炭坑で働く炭坑夫たちによって結成されている。

炭坑閉鎖に揺れる中、コンクールの日が近づいている。

メンバーはそれぞれの事情をかかえている。

生活苦あり、恋愛あり。

指揮者のダニーと、トロンボーンのフィル(彼らは父と息子でもある)の会話が印象的だった。

ダニーの頭の中にはバンドの事しかない。

フィルにはまだ幼い子供が何人もいて経済的に苦しく、

この先炭坑が閉鎖されるかどうか、

退職金の上乗せに応じるかどうかが大問題だ。

(フィル)

「バンドは好きだよ。

 みんなだってバンドは大好きさ。

 だけど人生には、他にいろいろあるだろ?

 もっと、もっと大切な事が。」

(ダニー)

「俺には無いんだ。」

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ダニーの音楽バカぶりに、(あ~、いるいる。こういう人)。

すごく指揮がいいかんじなので、

もしかして指揮が本職の人の中から演技が上手な人を探したの?って思ってしまった。

経歴をみたら思いっきり役者さんでしたね。

最期のコンクールの決勝の舞台では別のメンバーが指揮してるんだけど、

そっちもそれで別の個性で振ってて良い感じ。

中学や高校の吹奏楽コンクールで全国大会に出てくるような団体は、ものすごく練習を積んでると思うけど、メンバーはそれぞれに事情があったりするんだろうな。

音のバランスやパートごとの人数があるからそう簡単に出入りできないだろうし・・・。

舞台はもっと昔のイギリスのはずなのに、

あまりにも今の時代にぴったりだった。

お金や生活、生き甲斐と仲間、信義と現実の折り合い・・・。

バランスに悩んだことのある人には是非。

ちょっと暗いお話だけど、良い映画でした。

吹き替えの方が見やすかったです。