ぼちぼちおうち生活

浅く薄く移ろいゆく趣味と住居の覚え書き。

「人生はビギナーズ」

静かで、落ち着いた色調の映画です。

ユアン・マクレガー主演のヒューマンドラマ。

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主人公が父親の遺品を片付けるシーンから始まる。

父親が亡くなってから4ヶ月経った。

父親が飼っていたジャックラッセルテリアを引き取り、

家に連れて帰ったときにはその犬に向かってきちんと

ここはダイニングルーム、ここはリビング・・・と説明してやった。

ストーリーは主人公の現在と、父親との思い出、

さらに母親との少年時代の思い出を行きつ戻りつしながら進む。

父親は、母親が亡くなった後に、自分がゲイであることを話し、初めて同性の恋人をつくった。

ぐっと年下の若い彼氏との満ち足りた日々と、闘病生活。

主人公は友人に連れ出された仮装パーティで、ある女性と出会い、恋愛が始まる。

少しずつ少しずつ、お互いを知っていく。

だけど、幼少の頃の母親の寂しさを見てきたから、

最終的にはうまくいかなくなるんじゃないかと思ってる。

さてこの恋の行方は。

・・・といったかんじの内容。

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以前、「シングルマン」という映画を観たけど、

それにちょっと似てる。

どちらもゲイの当事者をデリケートに真面目に優しく描いて、

悲しみを扱って、とても美意識にこだわりのある、美しい映画。

微妙な心情のうつりかわりを丁寧に追うところが好きです。

音楽も好き。

ちょっと古いピアノの、滲んだような音色が優しい。

自分から動いてみる、とか。

踏み出してみる、とか。

良い方に転がって、人生を豊かにしてくれることってあるよね。

そういうことも言ってる映画なのかなと思う。

あと映画の中では小さなシーンなんだけど。

個人的には、父親の恋人だった人のところに、

犬をあずけて引き取りに来たシーンで、不意をつかれて、

あっと思った。

恋人は若くて健康で、父親の他にも恋人がいるということだった。

だから父親の死後は次の日常を過ごしてると思ってた。

でも、久しぶりに会った彼は悲しみに憔悴していて、

「どうして会いにも電話もくれなかったんだい?僕がゲイだから・・・」

って言うの。

そのやつれぶりに、(そうか、この人は最愛の恋人を亡くしたんだ)

と気づくと同時に、主人公からの電話を待ってる人がここに居たんだ、

と、思って。

ところで、

ユアン・マクレガーの映画は何本も観てるはずなのに、

どうして私はこの俳優さんの顔が覚えられないんでしょうね?