「舟を編む」
何年かに一度出るか出ないかの素晴らしい映画だと思います。
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大きな出版社の新しい社屋の隣に、小さくて古い旧館がある。
倉庫か?とさえ思う人がいるその建物には辞書の編集部があった。
ベテラン編集者が定年退職することになり、
その代わりに入る人物を新社屋の別部署に探しに行くところから始まる。
辞書の編集をやりたがる人は少なく、
「右」を説明してくれないか、と言われても
言葉を濁して逃げる人ばかり。
そんななか、不器用ながらも真摯に考えて答える若い社員がいた。
どうしようもなく口下手で不器用だけど、とことん真面目な彼は、
地味で時間のかかる辞書作りの仕事を、
自分の一生の仕事と思い定める。
編集する辞書の名前が「大渡海」。
言葉の海を渡っていく舟になる辞書、という想いが込められている。
ある日、猫の「とらさん」を迎えに、二階の物干し場に上がってみると、
そこには月の光を浴びて猫を抱く若い女性がいた。
大家さんが高齢になったため同居を始めた孫娘で板前修行中。
彼女に、彼は恋をする。
(この彼のどうしようもない不器用で初々しくてシャイな恋愛が
なんともいえずニヤニヤなかんじなのだ)
彼の恋はどうなるのか。
紙の辞書には厳しい時代に、「大渡海」は無事に出版できるのか。
・・・・・・そんな映画。
物干し台にたたずむヒロインが、
月からやってきた天女のようだ。
名前も、「かぐや」というのです。
もちろん撮り方とかいろいろあってだろうけど、
この宮崎あおいが本当に魅力的。
可愛かったりキレイだったりしっかり者だったりキリッとしてたり。
いつもいいんだけどさー。
主人公は、文系の変人というか、
専門分野オタクでコミュニケーションが極端に下手な人なんだけど、
これがまあ松田龍平はなんて俳優になったんだろうかと思うね。
あのレンがこんなになるなんてねえ(涙)
ちょっと悪いかんじのへラッと笑う遊び人の役もはまり役だけど、
こういうメガネかけた真面目で地味な変わり者もなぜかバッチリ。
しかもなぜか萌えにしてしまう(あれっ、私だけ?)
こんな役者さんなかなかいないですよね~。
辞書編集部の口達者な先輩社員のオダギリジョーといい、
「先生」の加藤剛といい、下宿の大家さんのおばちゃんといい、
出てくる俳優さんみんな素晴らしい存在感と雰囲気でした。
きっと、映らない部分を支える大勢の人たち、
たとえばセットや小道具やカメラや照明や、そういう人たちも
「長く残るもの」に真摯な愛情を注いで、この作品を作ったんだろうな、
なんて思いました。
でも、
食事や睡眠をおろそかにするのはいただけないな。
適材適所のすばらしさ、
天職に出会うということの感動を描いた映画だと思います。
本当に、いい映画でした。
オススメです。
大好きです。
なのにあんまりゆっくり味わえなかったよ~。
すごい人気作品なのに長く借りることになっちゃって、
もっとヒマな時にあたりたかったよ~。
DVD買っちゃおうかな