「セッション」
名門音楽学校で、ジャズの偉い先生に指導を受けるドラムの学生の話。
狂気か才能か、なんていうコピーがついてたので、
音楽に身を捧げた系のおかしい人たちの話かと思って期待したのですが、
アカデミックハラスメントのお話でした。
途中までは、指導教授のことを、
口が悪いだけの音楽バカなのかと思ったけど、
ただ単にハラスメント体質なだけですよね。
全メンバー揃っての貴重な練習時間を、ムダに怒鳴って浪費する。
学生を育てる気も知識もなく、どこが悪いか言葉で表現できない。
(結局、一度も、テンポは速いのか遅いのか、音程が高いのか低いのか、開示しませんでしたね)
だけど、著名で力のある指導教授、となると、
指導を受ける学生たちは教授の指導が絶対になり、
教授の覚えが自分の将来に直結してくる。
いくら人格的におかしくても、教授の言うことは正しいのかと思ってしまう。
この映画では観客もそのバイアスがかかってしまうところがミソ。
最後のステージまでは、それでもまだ、
良い音楽を作りたい人なのかと思ったけど、
復讐のために(そもそも自分が蒔いた種なのに反省していない)、
楽譜を渡さずにステージに乗せて他の奏者もお客さんも巻き込んで台無しにするなんて、
本当に腹立たしいし、音楽もステージも馬鹿にしている。
この主人公は、それでも観客にアピールして才能を証明してみせたけれど、
普通はそんなことできないし機会もない。
一人の天才を生んだ?
才能とやる気がありすぎて復活しただけでしょ。
彼がドロップアウトしたのは能力が無かったからではない、ということの描写だと思う。
最後のニヤリは、トランス状態に入った主人公の妄想かもしれませんよ。
期待が大きかっただけに、とても残念。
腹の立つ映画でした。
- 出版社/メーカー: ギャガ
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