ぼちぼちおうち生活

浅く薄く移ろいゆく趣味と住居の覚え書き。

「ゴーン・ガール」 (観た人のみ)

ゴーン・ガール」を書き足りないので、

ネタバレになっちゃうのを承知で、

きのうのとは分けて吐き出すことにします。

この先、まだ観てない人は、観てからまた来てね。

ネタバレしちゃうと、せっかくの最高傑作が、もったいないですからね。

もう大丈夫かな?

昨日、見終わったところでは、サイコな奥さんだな~、いやー怖いなー、とばかり思っていたんだけど、一夜明けて思うのは、この奥さんは深く深く夫を愛して執着してるんだな、ということ。

あれほどの手間ヒマをかけて、ただ、自分にまっすぐ向き合って「僕が悪かった。戻ってきて欲しい。愛してるよ。」と言って欲しかっただけなんだよね。あれほどのことをやっておきながら、たったそれだけで満足そうにニヤリとする彼女。ころがりこんだ先の元カレのことなんてちらりとも見ない。

もっとも衝撃的なシーンはおそらく殺害するシーンだろうと思うんだけど、私が個人的に、一番「うわ、」と思ったのは、赤ワインで下着を汚し、手首に紐をまいて、監視カメラの前で偽装工作をするところ。ここまでするか。いやここまででも十分すぎるほどに「ここまでするか」が積み重なっていくんだけど・・・。なんか実際に目にするとね、なんでもやる、ってこういうことなのか、と・・・。

どっちかというと元カレには同情の方が大きいかなー。

監視だらけの軟禁屋敷から逃げ出すためにはこうするしかない、と思ったんだろうけど、何も殺すことないじゃん・・・気の毒に・・・。ちゃんと監視カメラの場所も教えてくれてるんだし(あれわたし何か感覚おかしいかも)。働きもせず妻の親が貯めたお金をあてにして無駄遣いし、自分は浮気して、話し合おうとしたら床に投げつけられた。そんなダンナのところに戻るくらいなら元カレの別荘でそのまま潜伏したほうが、あの状況下ではマシなのでは、と思ったけど、彼女は脱出して戻るんだなあ。あんなことまでして。自由が大事だった?会見を見てダンナを赦したから?やっぱり愛してる?たぶん全部なんだろうね。

結婚して長くなってうまくいかない事があったりすると、(別の人と結婚していたらどうだっただろう)なんて考えるのはよくあることだと思うのね。こんなこと言うと独身の人とか新婚さんには顰蹙買うだろうけど。でもそこで出る答えはたいてい、(他の人だと私にここまで我慢してくれないよね)とか(よーく考えたらこのダンナの方がマシだ)とか(そういや元カレのここがもう無理だと思って別れたんだったっけ)とか、だいたいそんなかんじじゃないかと思うのよ。

この映画では、お金の問題があって、さらにダンナには小娘に浮気され、もう自分には愛情がないのかな、という状況になっていて、逃亡先で窮地に陥ったときに頼る元カレは、お金持ちで死ぬほど自分を愛していて接近禁止命令が出てからも20年も一途に想い続けてるという人物。夫は持っていない、今彼女が欲しいものをあふれんばかりに持っている。いやー、もう本当によく出来てます。そんな人がいたらいいのに、と妄想したその先に、もしいたとしたらこんな感じですよ、というところまで映像で呈示してくれる。

ダンナを徹底的に陥れて社会的にさらし者にして最終的には死刑に、っていうのも、ダンナから酷い仕打ちを受けた奥さんが、いっとき妄想することもあるんじゃないかな。実際には誰も行動しない(できない)けどさ。

そんなわけで、こんなに怖い映画に対してレビューで、スッキリしただの爽快感があるだのという感想が出てくるのも、少し分かる。分かるけど、私はやっぱり、まずは「怖いな~」、だな。(^^;)