ぼちぼちおうち生活

浅く薄く移ろいゆく趣味と住居の覚え書き。

「トータル・リコール」(ネタバレあり)

こういう動体視力が必要なアクション映画を観るのは久しぶり。

この作品はリメイクなのだそうで、元になる映画があるのだそうです。

ものすごーく手間とお金がかかったCGが多用されてると思います。

ものすごいスピード感のある立体的なアクションと、

緻密で独創的な未来の街のデザインと、

凝ったコンセプトが魅力の、とても上等な映画だと思います。

が。

映画が始まってすぐに光線銃を使ったまぶしい銃撃戦があり、

激しい光の点滅ってやつが続きまして、

あれはちょっと具合の悪くなる人が出るかもしれないなあと思いました。

素晴らしい映画なのに、実にもったいないことです。

ーーーーー以下ネタバレ気味ーーーーー

地球は汚染され、居住できる区画は2ヶ所しかなくなっていた。

1ヶ所はイギリスだったあたり、もう1ヶ所はオーストラリア大陸あたり。

イギリス=グレートブリテン島のあたりには富裕層が住み、

オーストラリア大陸あたりには労働者階級が住んでいる。

どちらも街は重層的に縦に伸び、三次元的な移動手段が主になっている。

富裕層の住むエリアと労働者階級が住むコロニーは「フォール」と呼ばれる

移動手段で結ばれていて、労働者達はその円筒形のビルのような乗り物に乗り込んで

地球の核を通って地球の反対側に通勤している。

主人公の男は、労働者エリアの住人で、富裕層エリアの工場に通勤している。

愛する美しい妻がいるが、決して裕福とは言えない住環境で代わり映えのしない毎日。

そんなある日、「リコール社」の話を聞く。

そこでは注文した「夢」を見られて、まるで自分が体験した記憶のように感じられるという。

大富豪になった記憶、大スターになった記憶、それとも有名アスリートが良いですか?

ただし、実際に自分が体験したことのあるものはダメですよ。

男は入店し、非日常を味わうために、なにげなく「スパイ」を選ぶ。

装置の椅子に座り、頭に電極を付け、注射をし、次の処置に移ろうとしたところで

店の担当者が叫ぶ。

「中止だ!管を抜け! だましたなこの野郎!!!」

男が戸惑う間もなく武装警察がなだれ込んできて担当者を射殺。

攻撃してくる武装警察から身を守るために応戦し、

ふと気がつくと、小隊を全滅させていた。

いったいどういうことなんだ。

混乱したままとりあえず自宅に帰るとそのニュースをしている。

レジスタンスのテロ事件として扱われている。

妻に、これはテロじゃなくて俺がやったんだ、訳が分からないんだ、

と話すと、ハグしてくれた妻が、首を絞めてきた。

思わぬ攻撃に戸惑う男に、妻が言う。

これが任務なのよ、ダーリン。アナタは自分が誰かも分かってない。

工場の組み立て作業員が、訓練を受けた警官を殺せると思ってるの?

私は諜報部員で、あなたの妻じゃない。6週間前までは他人だった。

アナタの記憶は植え付けられたものなのよ。

男はさらに訳が分からない。

いったいどういうことなんだ。

命からがら逃げ出すと、手のひらが光り出す。

自分も知らない電話が手のひらに埋め込まれていた。

そして、こちらからは知らない、向こうは自分を知っているらしい人物から

「KEY」を探せ、というメッセージが・・・・。

・・・・・・・というあたりまでで、まだ序盤。

どうやら主人公の男は、そもそも二重スパイだったようです。

二重スパイが記憶をなくして、自分は何者だったのか分からなくなってしまった、

っていう映画でいいのかな?

政府側からレジスタンスに送り込まれたはずが、

レジスタンスに恋人が出来てすっかりそちらに思想が染まって、

政府側に捕まる前に自分宛にメッセージも残していた。

でも政府側もそれを承知で利用した、ってことでいいよね?

しかしそれならなんで「妻」は殺そうとしたんだろうな。

泳がしておくのが大事で、

途中で殺しちゃったら元も子もないじゃんか。

ってことは、それなりに情が移っていたということか。

レジスタンスの彼の恋人に、嫌み言ってたし。

いやはや、

自分の記憶が全部作られたニセモノですよ、

ってことになったら、

まったくもって何を信じていいやら、になりますよね。

実に主人公の男は気の毒で、

誰が味方で誰が敵なのか、自分は何をすべきなのか、

本当にこれは現実なのか、夢をみているのか、

瞬時に判断しなくちゃいけないのは

・・・映画で見てるかぎりはすごくスリリングで面白い。

記憶をなくしても自分はきっと

ピアノを見たらこの曲を弾くだろうな、

って予想して、仕込んでおいて、

まさにそのとおりに行動して仕掛けが作動するところが

すごく印象的でした。