ぼちぼちおうち生活

浅く薄く移ろいゆく趣味と住居の覚え書き。

「路上のソリスト」

主人公は硬派な一流紙に人気コラムを連載している新聞記者ロペス。 記事のネタを探していて、バイオリンを弾いているホームレスのナサニエルと出会う。 ジュリアードにいたと話すので確認してみたら本来の専門はチェロだった。 記事を読んだ読者からチェロが送られてきて、ロペスはそれを渡すために 前回会った公園に行ってみたがナサニエルは居ない。 探し回って見つけたのは、車の往来が激しいトンネルの中だった。 チェロをとっかかりにしてナサニエルを路上生活から脱出させ、 音楽家として再生させようとするロペス。 路上生活者の支援センターに道をつけ、第一線のチェリストにレッスンを受けさせるなど、 ロペスはナサニエルによかれと思われることを積極的にすすめて関わっていくのだが・・・・・ ・・・・・・という映画。 社会派のずっしりしたドラマでした。 誰かが誰かを支援するということの、難しさの本質を描いた映画だと思います。 この映画の場合はホームレスに対する支援であったり、病気の治療を受けさせる=病名を受け入れさせることを、他人がどこまで踏み込んでいいものなのか、どこまで深く関わりあうのかといったものですが、おそらく同様のとまどいが、弱者に対する支援と名のつくもの一切にからまってくると思います。
助けたい相手の判断力が落ちてるのが分かっていて、なおかつ常識的に一般的に状況改善が望める方法があるなら、なんとかしたいと思うよね。 支援を受ける側にはその人なりの考えや感情があり、もちろん尊重すべきだとは思っても。 音楽がすごく良かったです。 弦楽の響きを聴いて、「神から与えられた恩寵だ」というシーンがあるのですが、 まさにそうだ、と、じんわり感動しました。 ちょっと、ベートーベン聴かなくちゃいけないなあ、と思いました。 それから、すっかり忘れていたのですが、 これって俳優さんが演技してるんですよね? ナサニエルは本人じゃなくて、どこかのチェリストを連れてきたのでもなくて、 ジェイミー・フォックスという俳優さんなんですよね? それで今、ジェイミー・フォックスで間違いないんだよねえと思って 検索してみたところ・・・・ よ~く見ると顔の造作はたしかにそうだ。 でも、でも、でも、別人にしか見えないよーー! 素はすごくかっこいい人なのね。 チェロも実際に弾いてるようにしか見えなかったよーーー! ということは支援センターの他の利用者たちも俳優の演技なはず、なんだけど、 ・・・・・・いやーなんというか、俳優おそるべし。 この映画、世界中でいろんなことが起きてる今の時期に、 もっと観られてもいい、観るべき映画なんじゃないだろうか。 ある意味タイムリーな映画だと思います。今から半年くらいは特に。