ぼちぼちおうち生活

浅く薄く移ろいゆく趣味と住居の覚え書き。

父に音楽を選ぶ

去年の秋に父が脳梗塞を起こして入院した。 体の左側が麻痺したため、当初は自由が利かず、 自力では着替えも歩行もできない状態だった。 これでは気分転換も難しかろう、少しは気晴らしになればと ipod に音楽を入れて差し入れることにした。 旧型のipod shuffl なら操作も分かりやすいし、 何より片手で操作するのが前提で作られているからだ。 さて、どの曲を入れようか、 と思ったところでハタと気付く。 父は最近はどんな曲を聞いているんだ? 昔はスウィング・ジャズが大好きだった。 グレン・ミラーは間違いないところだ。 これは決定。 じゃあ次は?
ベスト・オブ・グレン・ミラー

ベスト・オブ・グレン・ミラー

たくさん曲を入れるとお気に入りの曲のかかる頻度が下がるので とりあえず手持ちのCDの中からもう一枚だけ入れて渡してみることにした。 ジャズ+ゴスペルのアカペラ。
TAKE6

TAKE6

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ダブリューイーエー・ジャパン
  • 発売日: 1995/04/25
  • メディア: CD
いったんそれで様子を見よう。 ーーーーーーーー 数週間後。 父はipod shuffl を使いこなし、評価は上々であった。 それとりあえずCD2枚しか入れとらんけど、入れよう思ったらなんぼでも入るで、 と伝えると、じゃあ沢山入れてくれ、とのこと。 なのでまた一旦引き取って追加することにした。 どんな曲が良いのかと聞くと、 古いのはいいから新しい曲を入れてくれ、ということだった。 父の言うところの「新しい」がどのくらいのものなのか分からないが、 どうもグレンミラーよりもTAKE6の方がお気に召したらしい。 ジャズっぽいのが好きみたいなので、 私の持っている数少ないジャズのCDから、 一枚選んで入れてみた。
ピアノ・クインテット・スイート

ピアノ・クインテット・スイート

  • アーティスト: 大西順子,ロドニー・ウィテカー,マーカス・ベルグレイブ,林栄一,トニー・ラベソン
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 1995/09/20
  • メディア: CD
さて。 困ったのはその先だ。 体調の良くない時にこれ以上激しいのは×だろう。 ロック系はたぶん殆ど全滅。 体力気力の衰えてる時はバッハなんてオススメなんだけど、 では父がクラシックを好んで聴くかというとそうは思えない。 私自身はこのところサイモン&ガーファンクルと最初期のビリージョエルを よく聞いているのだけれど、父の好みとは少し違う気がする。 JPOP系なんてどうだろう、と思ってみたら、 色っぽい歌詞だったり色恋の濃いやつは ラジオやテレビからたまたま流れてくるならいいけど 娘の選曲で実父に渡すシチュエーションとしてはちょっとどうなんだ、 さらに別れを扱った内容だと縁起でもないものもあり、 歌詞の検閲は必須で考え始めるときりがない。 かといって歌の入ってない曲ばかりってのも変化に乏しくなるのでは。 うーむ。 意識したことなかったけど、 私って音楽の幅が狭いんだな、と思った。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー つい数日前に、またipodを預かってきた。 父はめきめきと回復してきており、 わずか2ヶ月少々の間にスタスタ歩けるようになっていた。 お正月には自宅で過ごし、 自宅までの階段も日常生活も無事に自力で乗り切った。 母は私と兄に、年末もお正月も来るなと言い、 てっきり子供に苦労をかけまいとする親心だと思っていたら 母は本気だったらしく、年末に様子を見にきた優しい兄一家に、 「来んでええ言うたやろ」、と散々に言ったらしい。 ノロウイルスが流行ってると聞いてのことらしいが、あんまりだ。 お正月は夫婦水入らずで静かに過ごし、 ピアノを処分して少し広くなった居間で、 音楽をかけて、2人でダンスを踊ってみたのだそうだ。 もちろんまだちゃんと踊れるわけじゃないし、 そもそも母がステップを忘れてしまっていて、 少しだけだったそうだけど。 母は踊った後、越路吹雪の「ラスト・ダンスは私に」という歌を 思い出したそうだ。 ラスト・ダンスは私に 越路吹雪 歌詞情報 - goo 音楽
これはけっこうイケルかもしれない。 という訳で、今度はダンス音楽を追加することに。 実家にあるワルツやタンゴ等のダンス音楽CDを借りてきた。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー さて。ダンス音楽を入れて送り返す予定なんだけど、 もうあまり聞かれないかもしれないな、と思っている。 なぜなら、現在は個室でテレビもパソコンもできる状態で、 決まった時間以外にも自由に自主トレに励める環境だから。 けっこう忙しいみたいなのだ。