「つぐない」
1930年代のイギリスが舞台の、切ないラブストーリー・・・なんだけど、
心理描写の丁寧さや時代背景の描き方にいたるまで、
見応えずっしりのヒューマンドラマでした。
裕福なお屋敷の美しい姉(キーラ・ナイトレイ)と、その妹である11~12才くらいの少女と、
使用人の息子ながら高等教育をうけた青年の物語。
少女のついた嘘によって青年は人生を狂わされてしまう。
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それは確かに妹に罪がある。
しかし、だ。
あの年頃の女の子にあんな手紙を頼む方が悪いんじゃ?
渡す場面を見た瞬間に、ああこれは絶対無事には届かないだろうと思った。
そのまま川に捨てるかと思ったら、開封して読むわ、人にしゃべるわ・・・・。
あーあー、だから言わんこっちゃない。案の定である。
小学校高学年くらいの女の子ほど危なっかしい人種はいない。
自分の気持ちもよく分からなかっただろうし、
オトナの事情だってまだ理解できるわけでもない。
関係ないけど、私はこの映画を見て映画にR指定することの意義を感じたよ。
もっともそう受け取ると、原作者の(私は幼かったのよ、ムリもないでしょう?)と言う声が聞こえそうでもあるけれど。
まあ、とにかく。
幸せだった時代の裕福な家の壁紙や装飾が美しく、お屋敷っぷりがすごくて、衣装もすてきで、
戦場からの引き揚げ船をまつ場所や負傷者の運ばれてくる病院の場面は説得力があった。
悲惨な描写がグロすぎないところも良し。
おすすめです。
あと・・・。
「つぐない」って、なんだろうな、って思った。
二人に小説や映画の中だけでも幸せな日々を、というのも、
ひょっとしたら、自ら過酷で意義のある仕事に没入する事も、
どちらも自分の気が済むためにしたことであって、
実際に姉やロビー(青年の名)に平安がもたらされるわけでも、
存命中に名誉回復されるわけでもない。
2人が被った損失はひとつも穴埋めされていないのだ。
ある意味これは自己満足と言えなくもないのでは、という気もする。
(でもねえ、すっごく良い映画だったのよ!)
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