「ゆれる」
香川照之が田舎の実家が経営するガソリンスタンドを守っている実直な兄を、
オダギリジョーが都会に出てカメラマンになって奔放な生活をしている弟を演じる。
ガソリンスタンドで働く幼なじみの女性に、
兄は密かにほのかに想いを寄せ、
弟は都会に連れ帰る気もないのに関係を持つ。
その翌日、兄と吊り橋を渡っていた女性は吊り橋から転落死する。
事故か、殺人か、ひょっとしたら自殺の可能性も(と観る人は思う)・・・という映画。
これだけで見たくなりますよね。
っていうか香川照之って、なんでこんなにこう、
その役の人物にしか見えなくなっちゃうんでしょう。
すごい映画だなと思いました。
この間の「キサラギ」の時にも思ったけど、
こういう質の高い邦画を見ると、
もっと邦画見なくちゃなあ、という気になります。
うーむ。
これはね、観なきゃいかんです。
映画の終盤に入って、弟が、
ガソリンスタンドで長年働いている従業員から、
「俺や親父さんにあの人を返してくださいよ」
って言われるシーンが一番心に残った。
実直な兄は、いいところなんて一つもない人生で刑務所の中にいるのも大して変わらない生活だ、なんて自己評価する毎日でも、周りの人には慕われて必要とされてきた。
裁判のシーンが続いて、
本当の事が分からなくなってきて、
兄の本当の姿もよく分からなくなってくるけど、
映画の始めの方で頼りにされてたのを、そこでふっと思い出させてくれる。
こういう人、実際にけっこうたくさん居るのかもしれないですね。
自分ではイイコトなんてない人生だと思ってても、
周りからは信頼されて頼りにされてる人。
私、子供の頃に引っ越ししちゃって、
結婚してからは転勤が多いし、
「地元」とか「田舎」って呼べるような場所が無いんだよね。
田舎の幼なじみとかも無いし。
わずらわしい事もあるんだろうけど、
あんな風に帰れる場所があるってうらやましい。
それから、
あのー、
見終わってから、よーーく考えてみると、
弟が全部、破壊しちゃったんだよな?
あいつが悪いんだよね?