ぼちぼちおうち生活

浅く薄く移ろいゆく趣味と住居の覚え書き。

極楽は暑いのか

それは私が中学生の時のこと。

修学旅行で京都に行きました。

例のごとく制服すがたでみんなでお寺などを見学してまわるわけです。

ある大きなお寺の中を見せてもらえるということで、

みんなで一列になって、中に入らせてもらったんですね。

板張りの廊下を歩いていくと阿弥陀堂という畳敷きの広間に出るのですが、

途中からやけに騒々しい音が聞こえてきたのです。

こんな厳粛な感じのするお寺なのに、この騒々しさはいったい何?

騒々しいというか何というか、かなりの音量。

ものすごい鳥の鳴き声が聞こえる。

それも一羽や二羽なんてもんじゃなくて、すごくいっぱいいる。

バサバサ羽ばたいて、ギャーギャーと活発に大騒ぎだ。

何種類もいるっぽい。

こういうの、どっかで聞いたことがある音だ・・・・ああそうだ。

動物園の鳥類のコーナーとか。どこだかの大きな温室で、

南国の鳥がたくさん放し飼いにされていたところとか。

よく似た鳥の鳴き声を聞いた。

いったいこんな厳粛な建物のどこに鳥小屋が??

すごく沢山いるから大きな鳥小屋にちがいない。

しかもすごく近くから聞こえる。

どこだ?

庭か?

(そんなもの無い。)

天井裏に鳥小屋が??

(ムリそう)

もしやどこかにスピーカーでもあるのか??

きょろきょろ見回したが何も見あたらない。

みんな、おかしいと思わないの?

最初に先生から、「静かに歩きなさい。おしゃべり厳禁」と注意を受けていたにもかかわらず、

ついにガマンできずに後ろの子に、

「ねえ、どこに鳥小屋があるんだろう?」

と聞いてしまった。

後ろの子は「?」という顔をしている。

「スピーカーかな。」

「何言ってんの?」

「だってすっごい音じゃん」

「何も聞こえないよ?」

「えっ!」

と驚いた瞬間、サッと、音が消えた。

「あ、やんだ。」

と言ったところで周囲のみんなに、シーーッ!!って怒られた。

後はものすごく静かになった。

制服の布地のすれる衣擦れの音が静かにひびくだけ。

あれはいったい??

とは思ったが、とりあえず「気のせい」にして考えないことにした。

それから何年も経ってから。

雑誌だか何だかの中で、作家の五木寛之氏が、

同じ場所で鳥の声を聞いたと語っているのを見つけた。

案内してくれたお坊さんに伝えると、

たまに聞く方がいらっしゃるんです。ご縁があるんでしょう。

とおっしゃったとのこと。

その鳥は、極楽浄土にいると言われている鳥なんだそうだ。

調べてみたら、

阿弥陀如来さまのいらっしゃる極楽浄土には6種の鳥がいるのだそうで。

クジャクとかオウムとか、あとは知らない鳥。

なるほどー・・・あのギャーギャーいう悪声はオウムだ。確かに。

だから温室って思ったのねー。

極楽浄土って・・・・・南国なのね?

オウムが飛び回ってるって言ったら熱帯っぽいんですけど。

そういや仏教の発祥地はインドだっけ。

じゃあインドっぽいのか。

極楽浄土=天国、だと思っていたけどどうなんだろう。

天国って花の咲き乱れる春の草原みたいのをイメージしてたよ。

そこは暑いのか?

夏は苦手なので、常夏ってのはちょっとなあ・・・・。

(でも地獄にいくのもやだし)