ぼちぼちおうち生活

浅く薄く移ろいゆく趣味と住居の覚え書き。

「ヒーロー 靴をなくした天使」

まったく聞いたことのない映画だったんだけど、
テレビでやってくれるので録画して観た。

ダスティン・ホフマン主演ってのは新聞のテレビ欄の紹介文で知ってたけど、
アンディ・ガルシアまで出てくるのを知って、
「へえ。ラッキー♪ どんな役なのかなー」
って思ってたら・・・・
・・・・アンディ・ガルシアのホームレス・・・
最初誰だか分かんなかったよ。
あれはホームレスじゃなくてヒッピー崩れって感じなのかな?

主人公は小さな盗みを繰り返すコソ泥。
ある日運転する車の前に飛行機が墜落してきた。
自分の息子と同い年くらいの少年に「パパを助けて」と懇願されて
仕方なく爆発炎上の危機がせまる機内に乗り込み、
次々に乗客を助け出し、ついでにハンドバッグを失敬して、
黙って立ち去る。
助けられたテレビ局のレポーターは命の恩人を捜すのだが・・・・。

天使っていうから何かロマンチックなお話なのかと思ったらそんなところは皆無。
アクションらしいアクションもなし、恋愛らしい恋愛もお色気もなし、
ジャンル分けとしては人情モノになるのか、それとも風刺コメディと呼ぶべきか。


普段のデタラメぶりから、誰も主人公の言うことを信じてくれないのね。
もしやこのまま誰も信じなくてシニカルに終わっちゃうのかな、
どうなるんだろう、ってやきもきしました。
でも息子だけは父親を信頼してるところがよかった。

人はまるまる全部が善人なわけでも全部が悪人なわけでもない、
良いところも悪い弱いところも併せ持っている、っていうのが
この映画の主題かと思うんだけど、
現実には、今の日本もこの映画の中と同じように、
マスコミも世間も善人と悪人にきっぱり分けたがるよね。
テレビって怖い。

ビルの張り出しで話すシーンの会話が良かった。
いい映画でした。
おもしろかった。

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おまけ。

全然映画とは関係ないことを、この映画を観ながら思い出した。

それはまだ私が実家に住んでいた頃のこと。
それまでずっと身なりにそれほど興味の無かった父が、
突然おしゃれになり、小綺麗にしはじめた。
母と私が
「おお、これは女友達でもできたか。めでたい!(笑)」
と色めき立って冷やかすと、
父がそっと言った。

「もしも駅とかそのへんの道で倒れたとするだろ。
 若い女性ならすぐに誰かが大丈夫ですかって声をかけてくれるけど、
 この年の男が暗くなってから駅でうずくまってたとしても、
 いい加減な格好だと酔っぱらいだと思われて、
 遠巻きに避けて歩かれるだけだ。
 せめて紳士らしければ早めに助けてもらえるかもしれないだろ。」

そうだった。
父は狭心症をもってるのだ。
なんだそういうことか、と母と納得したのであった。
そんなことを思い出した。