「博士の愛した数式」
宣伝文句からてっきり、
記憶が80分しかもたない博士と、家政婦と、家政婦の子供との
心温まる交流をえがいたヒューマンドラマ。
かと思って見ていったら・・・
実はそうじゃないっぽい。
真の主役は博士でもルート君でもないような。
これってホントは、
道ならぬ恋をしていた博士と義姉の閉じた関係は
事故によって永遠に続くかと思われたが、
新しく入った家政婦とその子供が、その閉じた世界を変化させていく。
っていうお話みたいですね。
ユーミンの歌に、
♪恋がシャーベットみたいならいいのに。
会えない時には凍らせておけるわ♪
って歌詞があったけど、
永遠に凍らせておく舞台装置を考えると
こんなにコワイことになるんだなあ、って思いました。
母屋に住む浅丘ルリ子の想いの深さと悲しさと怖さが
とっても印象的です。
でも出てくる人たちがみんな優しくて、自然が美しいので、
こわくないですよ。やさしい世界です。
- 出版社/メーカー: 角川エンタテインメント
- 発売日: 2006/07/07
- メディア: DVD
この作品の前に見た映画は「メン・イン・ブラック2」で、
黒いスーツに身を包んだ特殊組織のメンバーは
世間からその存在を隠し、目撃者や証言者に
緑の光をピカッ!ってやって相手の記憶を消すのが
お約束なんだけど、誰の記憶にも残らないのが
ちょっと淋しくもあるのね。
「次に会っても、キミは僕に気付かない」。
それってなんて孤独なんだ・・・って。
だけどこの作品をみて、
自分は相手を良く知っている、
相手が自分を忘れても自分には相手との記憶が蓄積していく、
そういうのもアリかもなー・・・
なんて思いました。
あと、全然関係ないけど、
博士にはそろそろこういう役じゃなくって、
チョイ悪オヤジ風とか結婚詐欺師とか犯人とかやってるのを見てみたい。