ぼちぼちおうち生活

浅く薄く移ろいゆく趣味と住居の覚え書き。

「のぼうの城」

わずか兵力500の城に、2万の兵が攻めてくる。

それをなんとか守りきったという、史実に基づく映画。

舞台は戦国時代。

豊臣秀吉は天下統一を進めていて、

次は関東地方を治める北条氏の一派を下したい。

そこで北条氏の本城である小田原城を攻め、

同時に北条氏の傘下である忍城

部下の石田三成に攻めさせることにした。

北条氏から当然のこととして小田原城への派兵をせまられた忍城城主は、

半分の兵と共に自らは小田原城へ赴き、同時に、

豊臣秀吉に密使を送り恭順の意を示して戦を避けようとした。

2万の大軍に勝てるわけがない。

豊臣軍が来たらすぐに開門して城を明け渡し、戦をさけるべし。

そう言い残して、人質のように小田原城へ。

忍城に残った兵はわずか500ほど。

三成側の使者が来たら開城するはずだったのだが、

使者の態度と条件の高慢さに戦を決意し、

500対2万の戦が始まるのだった。

忍城のトップに座ったのは、

日頃、領民の田植えに出かけては道化て暮らしていた

通称「のぼう様」。

でくのぼうと思われていた彼は、実は領民から慕われ、

人心の掌握に長けた人物であった。

のぼう様のためなら、と、農民たちは立ち上がる。

実はこの農民たち、長く農民をしてはいるが、

東武者の血をひく者達で、刀槍・甲冑も隠し持ち、

戦術にも長けているのだった。総数は3千ほどに。

戦力差はまだ大きい、と、なめてかかった石田軍は苦戦を強いられる。

そこでついに、石田軍は大規模な水攻めを行うことに・・・・・・。

ーーーーーーーーーーーー

「のぼう様」を野村萬斎が演じる。

しっかりものの側近(というより幼なじみ)を佐藤浩市

のぼう様に想いを寄せる姫君を榮倉奈々

力自慢の槍の名手に山口智充

血気盛んな若い側近に成宮寛貴

小田原城に赴く忍城城主に西村雅彦。

のぼうの城 通常版 [DVD]

のぼうの城 通常版 [DVD]

  • 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
  • メディア: DVD

この映画ほど不運な映画もなかなかないでしょう。

テレビ局の開局60年の記念として大金をつぎこんで、

多くの人たちの協力で大作の映画を作ったのに、

公開予定は2011年。最悪のタイミングでした。

結局だいぶ公開を遅らせたようですが、

水攻めのシーンは、どこをどう見ても津波を思い出させます。

あと数年早く完成していたら、もっと楽しんで見られたでしょうに。

ともあれ、

とにかく野村萬斎さまが素晴らしい。

最初から最後まで、品がありながら軽妙でコミカル。

揺れる小舟の上での田楽踊りオンステージは、

さすがの至芸を堪能させてくれます。下ネタだけど。

でもこの映画の屋台骨は佐藤浩市だよね。

佐藤浩市のどっしりした安心感ある土台の上で、

軽やかに野村萬斎が舞っているような印象です。

出てきた途端に画面に華やぎがでる成宮寛貴

文句なしにカワイイ榮倉奈々

秀吉は露天風呂入ってるところでテルマエロマエの皇帝かと思っちゃった。

あと、役者をしてる平岳大を初めて見たけどけっこう良いじゃん。

そんなわけで、役者さんたちも大勢のエキストラさんたちも馬も

大がかりなセットも、特殊効果やCGも、音も、

みーんな頑張ってる映画なんだけど・・・とにかく時期が悪かった・・・。

水に追われてお城にたどりついた民衆が、

小さな敷地にぎゅうぎゅう詰めになっていて、

早く建物に上がれ、と言っているのになぜか入らない。

ふと、のぼう様が見ると、みんな足が泥だらけなんですね。

それでのぼう様も下りて足を汚し、

ついでに横にいた姫君も下ろして足を汚し、顔にも泥を付け、

泥の足でそのまま上がってみせて、

「皆もはよう上がれ。わしら2人だけだと、また丹波(しっかりものの側近)に怒られる。」

って言ってみせるシーンが好きです。

娯楽大作とみせて、けっこう細かい台詞が後で効いてくるので、

じっくり落ち着いて鑑賞したほうがいいみたい。

あと、子供の鑑賞には向きません。

映画の最後に、映画の舞台になった場所が今はどうなってるか

現在の様子を見せてくれるのもよかった。