ぼちぼちおうち生活

浅く薄く移ろいゆく趣味と住居の覚え書き。

「サイダーハウス・ルール」

きのうの夜に観て、感想は明日の朝書こう・・・と思って一晩寝たら、

主題の重さがだんだん膨らんできて書けなくなってしまった。

この文章力の無さで、いったいこの作品の何を書ける?

何をどんなふうに書けばいいか、さっぱり分からない。

このままでは当分次の作品が見られなくなってしまうので、

とっ散らかったままぶちまけることにする。

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主人公は、山の中にある孤児院の中で生まれ育った青年。

孤児院にはみんなの父親のように世話をやいてくれる産科医がいて、

望まれない出産だけでなく、違法である中絶も行っている。

青年は医師から一連の技術を教えられて、ほとんど自分で行えるようになっているが、

堕胎だけはやりたくないと言う。

青年はある日、孤児院を出て山を下りる。

リンゴ農家で摘み手として働き、サイダーハウスと呼ばれる宿舎で

他の労働者たちと共に寝起きするようになる。

初めて海を見て、初めてキングコング以外の映画を見て・・・・・

いろいろな経験を通して成長していく。

そして、

自分の使命と、自分の居場所を見つけ出していく。

この作品は、ある青年の成長の物語だ。

医師の深い愛情や、細やかな描写が胸を打つ。

美しい自然と、美しい音楽。

見終わった時には静かな感動と共に、

「自分の使命ってなんだろう」

と思わずにはいられない。

サイダーハウス・ルール

サイダーハウス・ルール

  • 出版社/メーカー: アスミック
  • メディア: DVD

しかしながら、もう一つの主題は、中絶だ。

アメリカの選挙ではよく話題に上りますね。

中絶は違法か合法か。

世の中には、どんなに話し合ってもどうしても合意に達しない議題というのがあると思う。

立場が違うと、絶対に、絶対に、妥協できないし許せない。

その代表格が中絶だ。

この映画では両方の立場が丁寧に描かれる。

主人公は、自分は焼却炉行きから免れた、ラッキーだ、と言う。

孤児たちは存在して生きている。

対して、

素人の間違った手術によって命を落とす12才の少女、

実の父親からの性的虐待で妊娠、

という、誰もがこれは医師の処置が必要だろう、と思う例も描かれる。

サイダーハウス・ルールというのは、

リンゴ農家の宿舎の壁に貼られている紙に書かれた規則のことだ。

「住人じゃないヤツが作った」、実情にそぐわない規則。

住んでいる摘み手たちが、

「規則を決めるのは俺たちだ。俺たちで日々決めていく。」

として、その紙を焼くシーンがある。

うーん、何て書いたらいいんだろう。

思い出したのが、以前マスコミでも取り上げられていた、

熊本の慈恵病院の「こうのとりのゆりかご」だ。

「子捨てを助長するのはいかがなものか」とか「きわめて不快」、

などと政治家が話していたけれども、

理想論では救えない現実が先にあるということ、

運営している関係者たちは日々接しているのだということを、

ああ、なに書いてるか分かんなくなってきた。

要するに、

上の方の関係ない人たちに勝手に理想論でルールを作らせないで、

現実に即して当事者達に柔軟に決めさせろ、っていうことだと思うのよ。

映画の始めの方で中絶したキャンディは

「男だった?」「いつかきっと産みたいわ。赤ちゃんを。」

と言い、

周囲の人たちは、

「もちろんよ。何人でも産めるわ。」

と言ってなぐさめた。

だけど当時の医学では、

帰ってきた少尉との間には子供は望めなくなってしまった。

キャンディが赤ちゃんを産むことはないだろう。

(あの時、産んでたら良かった)

と後悔する日がくることは想像に難くない。

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こんなデリケートな話を、とっちらかったまま書いて公開していいものかどうか迷う。

でもね、ここまで全部読んでくれた、この映画をまだ見ていないアナタ。

こんなに重いエピソードがバリバリに入っているのに、

見終わった時にはすごく前向きな気持ちになって、

何かがんばろうって思えるのよ。

素晴らしい作品です。

おすすめです。

それから、

あのー、

コメントはお手柔らかにお願いします。[あせあせ(飛び散る汗)]