「キンキーブーツ」
映画が始まってすぐのシーンにやられてしまった。
女の子がぽつんと座ってるんです。居心地悪そうに。
やがてヒールの高い靴をそっと履いて、そうっとステップを踏み始める。
最初はひそかに。
だんだん楽しくなって、生き生きとした表情で踊り始める彼女。
美しい光景です。
陶酔して踊る彼女に、いかつい親父が怒鳴りつける。
「ぼうず! 何やってやがる!」
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えーと、話の筋としては、小さな町にある紳士靴専門の靴工場が業績悪化でピンチになって、
新社長に就任したばっかりの跡継ぎ息子が奮闘するお話。
もう、ふつうの紳士靴じゃあ儲からん。
ニッチ市場に乗り出そう、ということで、
ドラッグクイーンたちのためのブーツを作ろうとするんだけど、
周囲の(自分も)偏見が大きくて・・・・。
ドラッグクイーンのローラのステージがなかなか見応えがあって、
歌が上手で良かったです。かっこいい。
ちょうど、この映画の前に見たのが「MR.インクレディブル」だったので、
自分の持ってる才能をかくさない、ということを、
また考えることになりました。
この映画に出てくるブーツってのがねえ。
もんのすごくヒールが細くて高い。
あんなの履いて歩けないよ!
つーか1度も履いたことないよ!
すいません。女なのにヒールの高い靴を一足も持って無くて。
一番高いやつで5㎝だ・・・・。しかも冠婚葬祭用。
まっ黒でなんにも飾りのないやつ。
たまに思うんだよねえ・・・私って女失格なんだろうか。
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よく分からないのだが、
ドラッグクイーンとトランスジェンダーと服装倒錯者とはみんな違うのだそうだ。
ええっと、ゲイの中で派手な服が好きな人たちがドラッグクイーンなのかな?
昔、百貨店のトイレで会ったことがある。
会ったというか、居合わせた。
彼女がゲイなのかトランスジェンダーなのかは分からない。
あまり人のこない場所にある個室が2つしかない小さなトイレで、
彼女は化粧直しをしていた。
私が入ってきたら、
「あら、人が来ちゃった・・・どうしよう・・・どうしよう・・・」
とでも言うように伏し目がちで小さくなっていた。
私はがさつに個室に入って用を済ませて、洗面所で手を洗って、
ちら、と鏡の中で彼女を見たら目があってしまった。
大丈夫だよ。何も言わないし、非難なんてしない。
そんなオペラピンクの、ひらひらのついたスーツを着て男子トイレになんて入れるわけないじゃない。
仕草も表情もこんなにしおらしくて可愛らしいのに・・・
なんて思った。
そんなことを思い出した。